で、今日こんな本を読んだの。
イメルダは不治の病にとりつかれていた。
結婚して二十年、何一つ不自由なく暮らしてきたことを思うと神様の思し召しに従う決心がついた。
そこで、彼女は夫のトニーをベッドに呼んだ。
「トニー、私はもう長くは生きられないわ。
あなたはまだ若いし、再婚のチャンスはあるわね。
私はこれまで幸せだったから思い残すことはないけど、ひとつだけお願いがあるの」
彼女は弱々しく夫の手を掴んで続けた。
「再婚した相手に、私のドレスや宝石は絶対に渡さないでね」
「マリア、君はなんてつまらないことを心配しているんだ」
夫は優しく妻の手を握り返して言った。
「僕はそんな男じゃないよ。
それにキャティは宝石に興味がないんだ」
トニー外道杉。