2829村 久しぶりに村立てようか。そういう気分だ。わたしの両手には時間が溢れている。溢れているだけでどんどんと流れていく。だからこそ。だからこそ、わたしはここにいることにしている。そうでもしなければ、わたしなんていないも同然。だって、そういう風にできているのだから。でも、その役目ももうすぐ終わり。そんな気がする。それで、わたしはいいのだろうか。本当に、いいのだろうか。黒い背表紙に黒い文字で書かれた物語は君のため。白い裏表紙に白い文字で書かれた物語はわたしのため。誰が、それを読むのか。誰が、それを歌うのか。物語に裏表があるように、背表紙には裏がある。だからどうしたという話。裏の裏は表。そんな簡単な世界にわたし達は生きていない。そういえば伯爵様、一つお願いがございます。詳しいことはまた後に。