ランダムと欧州。
里村悠子29歳、夫、純一が単身で海外への赴任となった矢先の事だった。
子供達を保育園に送り出して家に戻り、しばらくしてその悪魔からの電話が鳴
り響いた。
「プルルル・・・」
「はい、里村です」
悠子が急いで電話に出た。
「あ〜っ里村純一さんのお宅ですか?」
ドスの利いた声が受話器の向こうから聞こえた。
「はい、そうですが! 主人は居りませんが!」
「どちら様でしょうか?」
「奥さんですか? ゆう・・子さんかな?」
「はい、そうですが?」
悠子はハッキリと答えた。
「ワシはね〜、奥さん! 純一さんに多額のお金を貸している、○×金融の長
谷川と言う者なんだがね〜!」
「はぁ〜?」
悠子は不思議そうに答えた。
「奥さん! はぁ〜? じゃ無いよ。ワシの慰謝料300万の返済期日は明日
なんだがね!」
「最近連絡が来ないと思えば単身で海外なんだってね〜?」
悠子は不機嫌そうに聞いた。
「あの〜、一体どういうご用件でしょうか?」
事の次第はこうだ!
○×金融の言わば長谷川の愛人に上手く騙され、純一がのめり込み肉体関係を
持ってしまったのだ。しかしこれは長谷川の策略であった事は当の本人は全く
知らないのである。
「奥さん! うちの社員がな、旦那の子供を身ごもってな、その慰謝料が30
0万なんじゃよ」
「その金をワシがあんたの旦那に貸したんだよ」
「え〜!」
悠子は絶句した。
「まさか主人が?」
「嘘では無い! 旦那のハンが押された書類もあるのじゃよ!」
「そんな〜!」
悠子は脚がガクガクと震え出していた。
「何なら奥さん今から、証拠の書類を持ってお宅へ伺いますよ」
「でも奥さん! 今行くと真っ黒なお毛々が丸見えになりますよね?」
悠子はハッとして思わず手で陰毛を隠した。悠子は朝シャンをするためにスカ
ートを脱ぎ、ショーツも取って、部屋の中で豊満な下半身を露出していたのだ。
「奥さん! いい身体してるね〜!」
「ケツのラインもガキを二人も生んだ尻じゃね〜な」
「いや〜っ!」
悠子は叫びながらその場に座り込み辺りを見回した。
(もしかして? 覗かれてる?)
(何処?)
悠子は居間の向こう側に見える雑居ビルの一室に誰かが居るのを発見した。
(あそこ? え? 双眼鏡で覗いてる!)
悠子の居る部屋はマンションの2階で長谷川が今いる雑居ビルとは目と鼻の先
であった。
周りには幾つものマンションや会社の寮やすぐ傍には専門学校も隣接していた。
「奥さんこれで判っただろう! 旦那が居なくなってから、ここでいつもあん
たを監視していたんだよ」
悠子はゾッとした。
文字数オーバーしそうなんでこの辺で。