>>50背景(研究の発端となる社会的背景や問題の所在)と目的を、専門家以外の人にも理解できるように分かりやすく具体的に書く。また、従来の研究例を列挙(レビュー)し、研究の位置づけを明確にする。論文の価値を左右するオリジナリティは、この時点でほぼ定まってくる。すなわち、問題設定が斬新で的を射たものであるならば、読者を完全に惹きつけることができる。
と言うか、ここで話は変わるが、相手に読みやすい文で書けよ。
数値シミュレーションに例えれば、結論が解であり、研究目的は境界条件に相当する。査読者および一般の読者は、与えられた境界条件に対して著者の導き出した解に間違いがないかを検証しようと試みる。もし研究目的が明確でなければ、結論の検証作業が行えず、せっかくの研究も台無しになってしまう。このため、箇条書きにするなどして明快に示す必要がある。疑問形や仮説の提示といった体裁をとるのも効果的である。なお、作業仮説を立てることは、計画を練ったり結果をまとめたりする過程において重要な意味を持つ。
当初目的としていたもの(あるいは作業仮説)が、データからうまく実証できない場合がある。そのような時は、その目的や仮説は放棄せざるを得ない。しかし、予想通りの結果が得られなかったとしても、別の部分で重要な知見が得られたならば、その結論と整合した目的を再設定すればよい。あるいは作業仮説を棄却することにより対立仮説の妥当性を立証するというスタンスも有り得る。いずれにせよ、論文では論旨の首尾一貫性が重視されるので、研究の経緯にはこだわらず、目的と結論の整合性に最大限の注意を払うべきである。