そこへ、浦島豚郎(BUTA郎)が通りがかりました。
「君達、亀をいじめるのは止めたまえ。」
と言いたかったのでしょうが、岩陰に隠れて、様子を伺っておりました。性悪そうな少年が5、6人もいて、中には刃物を持っている者もおりましたから、太刀打ちできないと思ったからです。先日も村の乗合バスが包丁を持った若者にのっとられたばかりでしたから、無理もありません。
若者たちは、何をやっても自分達は裁判官から極刑を言い渡されることはないだろうと思っておりましたから、安心して傍若無人を働くことができたのです。
かもめは甲羅に身を竦め、ただ、ただ必死で耐えていました。
少年たちが立ち去ると、浦島豚郎はかもめの所へ走って行きました。かもめの甲羅はところどころ剥げて、陥没しているところさえありました。
「ごめんね、ごめんね。ぼくに力さえあれば…」
豚郎はかもめを助けれなかった事を恥ながらも、かもめを丁寧に看病してあげました。