「鏡よ鏡。世界で1番美しいのは誰?」
「もちろんあなたです。でも、あと5年後には、村外れの貧しい農家に住んでいる白雪という娘があなたより美しくなるでしょう。」
「まあ、くやしい。さっそく毒リンゴで何とかしなくっちゃ。」
「それは、無駄なことです。」
「どうしてなの!」
「更に5年経つと、白雪は、1番ではなくなるからです。」
「じゃあ、誰なのよ。」
「そこまでは分かりません。それに、その頃になると、あなたより美しい女性は、この国だけでも、ざっと1000人はいるでしょう。」
「ええっ、そんな。じゃあどうすればいいのよ。」
「心を磨くことです。心は、年齢には関係なく、いくらでも美しくなります。」
嫉妬深い王妃も、鏡の真摯な忠告にすっかり改心したようです。
「そうね、私はこれまで心が醜い女だったわ。これからは人を慈しみ、誰からも愛される存在になろう…」
王妃はこれまでの態度を悔い改める為、早速村にでかけました。