クメール文字は表音文字で、英語などと同様に母音と子音の組合せで表記される。ただし、通常は右から左へと文が書かれる。通常の子音文字が33あるほか、ほとんどの子音文字は連続子音の2番目や3番目の音を表すための特別の字体、いわゆる「子音の脚」(サブスクリプト・コンソナント)をもつ。この「脚」の理解と処理方法が、現在の標準化をめぐる最大の論点の一つとなっている。カンボジア側が批判している現行のISO/ユニコードで採用しているコード体系では、この脚を独立したものとは認めていないのである。 子音文字と脚は、通常は一対一対応をするのが原則だが、さまざまな例外がある。 母音は、学説によっても異なるが、二重母音を含めて29ほどあるとされる。ただし、日本語などとは違い、通常は母音だけで単独で用いられることはなく、必ず子音に添えて使われる。母音から始まる場合には特別の文字が使用される。その他、感動符、繰り返し、母音や子音の変化などを表す記号がある。