さて。俺はとある力を持って生まれた。
夏の日もマントを脱ぐことの出来ぬ本当の理由…
それは、だな。この刺青のせいだ。
この刺青は俺が殺めたヤツの過去を共有し、
そのたびに悲しみに、怒りに、嘆きに疼き俺を苦しめる…
つまり、ヒトクイなら悟ることができる。
そんな力だが、役に立てるなら何よりだ。
・・・【俺が霊能者だ】
その夜、表の集まったアリスは彼女の両親も任し、
家に入る事無く、俺が刺した。
だが、流れてきたのは悲しみだったんだ。
両親にさえ受け入れられずに消されることへの…。
つまりな、俺は…【人間を殺してしまったんだ。】
アリスは人間だった・・・。
こいつこそ…。俺はそう思ってフィリップを、
腕の中で温度を失った男を刺した。
流れ込む記憶は、空虚な白だった。
ぽっかりと浮かぶような………。
俺はまた、【人間を殺してしまったんだ。】
フィリップは人間だった。