性教育
全寮制のミッションスクールで卒業式をひかえたある日、
深窓の令嬢ばかり世間に出すのだから多少の性教育もする必要があった。
修道院長のマザーが優しく語り始めた。
「娘たちよ、あなた方は間もなく罪深い俗世間に出て行かねばなりません。
そこには大勢の悪い男たちがいるでしょう。
男はあなた方に甘い言葉で近づき、お酒を飲ませ、男の部屋に誘うでしょう。
そうなれば服を脱がせ、耐え切れないほど恥ずかしい姿にしてしまいます。
やがてすっかり傷ついたあなた方を二、三十ドルの金で放り出すようなことさえします」
「すみません。ちょっとお尋ねしてもよろしいでしょうか、マザー」
話の途中で卒業生の一人が手をあげた。
「院長さま、そういう男が三十ドルくれるとおっしゃったのは本当ですか?」
「ええ。男は金で責任逃れをしようとするものです。
まったく卑劣きわまりありません!
でも、どうしてそんなことを聞くのです?」
「いえ、ただ、神父さまたちはチョコレートをくれただけですから」
新和町